Wood Chairs Exhibtion 2002
木の椅子展 2002 道頓堀倉庫
「美しい花はあったが花の美しさは無かった」 この小林秀雄が書いた一文であるが、水尾比呂志氏の名著『美の終焉』の中で 引用されたこの文章に目が止まり、その奥ゆかしい言葉に心奪われ、デザイナー としての立場で何か表現できないかと思い、1997年頃から始めていた椅子のデザインを形にすることにした。
バウハウス以降を近代モダンデザインの潮流と見て、そのデザイン軸にのる日本 の椅子デザインを考察した時、剣持勇、柳宗理、喜多俊之などが視野に入るだけで あった私にとって、世界に通用する「日本のかたち」の創出をめざすことは 自身のライフワークになるので無いかと確信しこの展覧会の開催に至った。 それ以降売り物で無いものは単なる自己満足であると周囲から揶揄され 2004年に家具ブランドZadelia を設立し自身と戦いながら日々魅力ある椅子、 時代を変える椅子への思いを巡らせている。
日本人にとっての「座る」という動作の中には、西洋には無いオリジナルな道徳 心が内在しており、座る事を正すことは生活全てを正すことに繋がるのでは無い かと考え、柔らかくて座り易い椅子はもちろん大切ではあるが、 椅子に対する視点を少し変えて、座れば意識無くとも自ずと姿勢を正すような、 そんな一脚をデザインする事が出来ればと考えている。
Info
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Category : exhibition
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Date : Nov 2002
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Space&furniture design : YOICI OISI
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photo : Susumu Takase